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新宿区社協 社協による親族後見人支援の実際と課題 本人に最も相応しい後見人として親族後見人を支援

東京都新宿区社協
【社協による親族後見人支援の実際と課題 本人に最も相応しい後見人として親族後見人を支援】


新宿区社会福祉協議会が新宿区から受託し、成年後見制度推進機関として新宿区成年後見センターを設置したのは平成19年です。設置以来、制度の普及啓発のための講座やパンフレットの作成、制度の相談対応、成年後見人等の支援、市民後見人の養成等を行っています。新宿社協では、地域福祉権利擁護事業(日常生活自立支援事業)も行っています。職員は成年後見制度利用推進事業と合わせて10名で、地区担当を配し、一人の職員がその地区に住む方の成年後見制度、地域福祉権利擁護事業どちらの相談にも対応できるよう、両事業の一体的な推進を図っています。

新宿区社協では、成年後見制度に関するさまざまな相談に対し、職員による相談と専門職による相談を行っています。新規相談件数は、平成24年度から平成28年度の5年間、毎年約300件程度で推移しており、大きな増減はみられません。相談者分類については、同じく5年間で、子や兄弟、甥・姪といった親族が毎年7割程度で推移していましたが、平成28年度は7割を切り減少傾向です。

相談の内容としては、将来を案じて事前に制度のことを知っておきたい、というものもありますが、成年後見制度が必要な状況が目前となってからのものが多くなっています。また対象者の支援方法について親族間の意見が合わず、その解決に成年後見制度を活用できないか、という相談も少なくはありません。相談の対象は高齢者に関するものとは限りません。発達障害のため金銭管理ができず親が支援してき子どもの20歳を過ぎ親権がなくなった後についての相談や、精神障害のため自宅に引きこもり、日常生活が単独では営めない50歳代の子の相談を80歳代の親が行う、いわゆる「8050問題」ともいえる相談も増加しています。なお、新宿区社協では相談後も情報提供を希望する場合には、情報提供希望者として登録し、講座の案内や広報物を送付しています。

新宿区社協では、親族等が成年後見人等となった後でも、後見活動に関する相談や、家庭裁判所に提出する書類の作成方法などの相談を随時受け付けています。それとともに、成年後見人等選任まで新宿区社協が支援するなど、申立ての状況がわかっている場合を除き、最終相談から6カ月経った相談者にその後の状況ついて確認の電話を行っています。

電話確認の結果としては、成年後見人等が選任された、という回答は少なく、多くが申立てに至っていない、もしくは成年後見制度を利用せずに様子をみることにした、というものとなっています。ただそうした電話から再相談につながることや、「困ったことがあったらまた連絡する」、「電話をもらえてよかった」という言葉なども聞かれることがあります。なお、ここで親族が成年後見人等であることを把握した場合、親族後見人として、情報提供希望者への登録を呼びかけています。

平成30年1月現在45名が登録をしています。登録後は情報提供希望者と同様、案内を送るほか、成年後見人等交流会への案内を行っています。新宿区社協が実施している成年後見人等交流会には、親族後見人のみが集まる「親族後見人交流会」と、親族や専門職、市民後見人などあらゆる後見人を対象とした「後見人等交流会」の2つがあります。親族後見人のみで集まりたいという声や、さまざまな方の話を聞いてみたいという声に応え、親族後見人はどちらの交流会に出席することも可能となっています。開催頻度は、現在は、親族後見人交流会が年2回、後見人等交流会が年3回となっています。なお、参加の呼びかけは、親族後見人として登録した方への案内と、新宿区報や新宿区社協の広報、ホームページなどで行っています。

親族後見人交流会については参加者が多くない状況が続いています。平成23年に開始して以降、これまでに14回実施してきましたが、平均参加人数は3.3人であり、最も多いときで8名、少ないときには1名というときもありました。参加者を募るために、時間帯を日中や夜間にしてみたり、曜日を平日や土曜日にしてみたりと工夫していますが、いずれも増減に関連性はみられません。また以前は他区の親族後見人と合同で開催したこともありましたが、集まる人数が大きくは変わらないことから、現在は新宿区単独で開催しています。親族後見人交流会には、専門職後見人が後見業務へのアドバイザーとして1名参加しています。

一方、後見人等交流会については、同じく平成23年に開始して以降、これまで16回開催し、平均参加人数は20.2人となっています。親族後見人交流会は参加者の交流のみを行っているが、後見人等交流会については、医療や福祉制度にまつわるミニ講座の開催や、区内にある福祉施設の説明・見学など後見業務にかかわる情報提供も行っています。

新宿区社協では、相談や交流会を通じて、親族後見人の声をこれまでたくさん聞いてきました。その声から親族後見人が後見業務を務めるときに困難と感じたり、悩んだりすることをまとめると、①後見業務に関する情報収集の難しさ、②親族としての立場と親族後見人としての立場との板挟み、③相違する意見をもつ他の親族との関係性、の3つにまとめられます。親族後見人の悩み等が3つに大別されることから、新宿区社協として取り組むべき支援は、①相談および情報提供の継続、②交流会への参加の呼びかけ、③社協ならではの親族後見人を支えるネットワークづくり、の3点を考えています。

今後、成年後見制度の利用においては、制度利用者の状況に応じて最も適切な担い手として、親族後見人の選任数が増加していくことが想定されます。そのような状況に対応していくためには、親族後見人が適切に後見業務を担えるよう、サポート体制を強化することが必要です。新宿区社協では、親族後見人の支援を進めるとともに、社協という福祉の専門団体として、「本人の意思決定支援や身上保護等の福祉的な観点も重視」した後見業務を親族後見人とともに考えていきたいと考えています。

新宿区社協による親族後見人支援の取り組みの詳細は、料治康子「新宿区社会福祉協議会による親族後見人への支援」『実践 成年後見 No 74』(民事法研究会 2018年5月)をご覧ください。『実践 成年後見 No 74』は民事法研究会ホームページよりご購入いただけます。

20180422成年後見
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なかなか一言で表せない社会福祉協議会(社協)。地域福祉活動の推進、生活困窮者支援、成年後見・日常生活自立支援事業、介護保険・障害サービス事業、ボランティア・市民活動の支援、福祉教育・ボランティア学習、共同募金・・・、さまざまな事業・活動を展開しています。少しずつ、その活動を探検してみましょう。

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