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中野区社協 社協による親族後見人支援の実際と課題 勉強会やニュースの発行により支援 

東京都中野区社協
【社協による親族後見人支援の実際と課題 勉強会やニュースの発行により支援】


中野区社会福祉協議会では、平成20年、成年後見制度に関する相談、普及啓発事業の実施などを目的に中野区から中野区成年後見支援センターを受託しました。センターの運営をする中で、親族後見人等をしている区民からの相談を受け、あるいはそうした区民に対してさまざまな事業を通じて親族後見人の支援に取り組んでいます。

平成29年度は社会福祉士5名(常勤職員3名、非常勤職員2名)、弁護士1名(週1回勤務)の計7名で運営しています(うち4名は兼務)。センターの事業メニューは主に、①相談・申立て支援、②後見人サポート、③普及啓発となっています。平成20年に中野区から受託して以降、毎年400件前後の成年後見制度に関する新規相談に対応しながら、それぞれの事業メニューの目的に沿った事業を行っています。

センターが設置されているあんじん生活支援課では、法人後見・後見監督事業として平成23年から法人後見、市民後見人の後見監督事業を行っています。さらに、日常生活自立支援事業と一体的に区民等からの相談を受け止め、検討することで、中野区民の権利擁護が図られるように事業運営を行っています。

センターが実施する親族後見人への支援の一つに親族後見人勉強会があります。親族の成年後見人等を受任している方からの相談は、新規相談全体の1割にも満たない状況です。このため中野区社協では、親族後見人等を行っている区民を対象とした事業として「後見人勉強会」を年に2回実施し、後見業務を行ううえで日頃から感じる悩みを話したり、ほかの親族後見人の経験を聞いたりすることができる座談会を行ってきました。

座談会では専門相談員である弁護士がアドバイザー役となり、具体的な事務や、家庭裁判所の考え方などを解説しながら、日頃の後見業務に直接役立つ内容を講義しています。この事業はセンターの職員にとっても、親族後見人が普段どのような悩みを抱えながら後見業務を行っているかを把握する貴重な機会となっています。しかし、後見人勉強会の参加者は毎回5人前後ということが課題でした。

センターでは、区民から相談を受ける際、相談者の名前や連絡先などは必ずしも聞き取りをしていません。制度の概要や申立書の内容など、「とりあえずどんな制度かを知りたい」という相談の場合に、そこまでの個人情報を把握する必要はないという判断からです。また、相談を聞いて、制度利用が必要な状況があり、相談者も具体的に検討しているような場合は、相談者や本人の氏名や連絡先などを聞き取り、継続的な相談に備えますが、その場合においても、センターの職員から、「最終的に申立てをしたか」、「誰が成年後見人等になったか」などの後追い調査はしていません。

そのため、センターが把握している区内の親族後見人は、もともと成年後見人等として活動しており、たまたま掲示板や区報などをみてセンターヘ問合せをしてきた方で、職員から今後の後見人勉強会などの案内について提案し、了承してもらった方や、申立て支援を行った相談者の意思によって、センターに申立ての結果を報告してくれた方などに限られています。その数は、当センター受託から5年経った平成25年度の段階で20名程度でした。

平成26年度からは、従来から年に2回座談会形式で開催していた後見人勉強会のうち1回を、後見業務に具体的に役立つ内容の講演会形式に変更し、かつ興味のある一般区民が参加できる形式に変更しました。これにより参加人数が増加したことに加えて、成年後見人等を受任している、また、近い将来制度利用を考えているという方をセンターが把握しやすくなりました。

この後見人勉強会に加えて、平成27年度に開始したのが、申立相談者へのアンケート調査と、「中野区成年後見支援センターニュース」の発行です。申立相談者に対しては、アンケート用紙と料金受取人払いの返信用封筒を渡し、そこから親族後見人の把握につなげる取組みを開始しました。アンケートにはその後の申立内容や質問などとともに、センターからの定期的な情報提供の希望を確認しています。これによりセンターでの相談を経て親族後見人に就任した方を把握することができるようになりました。返送数は、平成27年度は4通、平成28年度は5通です。

センターニュースは年に2回送付しています。ニュースでは、不定期に更新される東京家庭裁判所の後見サイトが更新された際に、その内容をわかりやすく親族後見人に情報提供しています。A4用紙両面1枚の比較的簡易なものですが、これによつて、親族後見人は後見業務をするうえで必要な家庭裁判所への報告などに関する情報を速やかに把握することができます。

受任直後から初年度の後見報告までの期間の中で、親族後見人から受ける相談で多いのは、家庭裁判所へ提出する報告書等の書類についてです。具体的には、支出の費目の分け方などの日々の出納管理について、報告書の添付書類や報告書の内容チェックなどです。また、成年後見監督人から連絡がこないから、こちらから連絡をしてもよいのかなど、受任直後で不安を象徴するような相談も少なくありません。財産管理、物品の購入などについても、成年被後見人の生活日用品の購入代金が高額であるために不安であるなど、自分の判断が成年後見人として適切な判断だったか、客観的な立場の意見を確認したいという内容も多くありました。相談内容の多くが成年後見人の裁量判断の範囲内の事項であり、その対応の多さに苦慮していることが推測されます。

親族後見人は、成年後見認等の生活歴や趣味嗜好など成年被後見人等のさまざまな情報を把握し、本人が望んでいたと思われる生活に近づける支援が可能な点では、理想的な成年後見人等となりえます。しかし、実際には距離が近すぎるゆえに、自身の想いを押し付けてしまったり、他の親族の強い意見に流されてしまったり、利益相反が生じてしまうなど、さまざまなデメリットがあるのも事実です。専門職後見人のように職業的に法的な根拠に基づいた判断や、対人援助に対する専門技術をもっているわけでもありません、このためセンターとして、親族後見人の不安に寄り添い、適切な後見業務ができるよう支援していくことが求められています。

中野区社協による親族後見人支援の取り組みの詳細は、黒木俊一郎「中野区社会福祉協議会が行う親族後見人への支援」『実践 成年後見 No 74』(民事法研究会 2018年5月)をご覧ください。『実践 成年後見 No 74』は民事法研究会ホームページよりご購入いただけます。

20180422成年後見
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なかなか一言で表せない社会福祉協議会(社協)。地域福祉活動の推進、生活困窮者支援、成年後見・日常生活自立支援事業、介護保険・障害サービス事業、ボランティア・市民活動の支援、福祉教育・ボランティア学習、共同募金・・・、さまざまな事業・活動を展開しています。少しずつ、その活動を探検してみましょう。

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